- ウール(毛)製品の臭いの原因
- 臭いを取る方法
冬に大活躍のウール。ニットやコート、マフラーなど、暖かくて独特の風合いが魅力的です。
そんなウール。なんだか臭うときはないですか?
「あれ?新品なのに臭い」
「ウールってどうしてこんなに臭うの?」
「濡れたら臭い」
全てのウール製品がそういうわけではありませんが、独特の獣臭さが残るウール製品は少なくありません。
ここではウール製品の臭いの原因と、おうちで出来る臭いの取り方を紹介します。
ウール(毛)製品の臭いについては、悩んでいる方はすごく多いです。気になっているあなたも、ぜひチェックしてみてください。
- 臭いの原因は、①ラノリンという脂肪質 ②染料や機械油の2つ。
- 水分と乾燥の組み合わせで臭いを軽減することができる。
- それでも取れない場合はプロの力を借りる。(ドライクリーニングに出す)
私は繊維製品品質管理士(TES)としてアパレルに勤めており、普段から服のいろいろな問題に触れています。
現場の声として参考にしていただけたら幸いです。
ウールの臭いの原因
原因① ラノリンによる獣臭

ウールとは羊毛(主にメリノウール)のことを指します。
羊毛には保湿性や保温性を高めたり、毛をコーティングする役割があるラノリン(羊毛脂)という脂肪質が含まれています。
ウールの獣臭さの原因となるのがこのラノリンという成分です。
ラノリンは化粧品の原料や、軟膏などの医療品に使われたりと私たちの身近にもある物質ですが、精製される前のラノリンは強い臭いがあります。
通常は糸を染色する前や、匂い自体を取るためにラノリンを除去するのですが、保温性や撥水性を保つために意図的に多めにラノリンを残しておいたりします。
また、単に生産工程のミスであまり脱脂されず、ラノリンがたくさん残ってしまう場合もあったり。
このように、生産過程で繊維にたくさんラノリンが残ると、臭いが強くなってしまうというわけです。
原因② 残留染料や機械油による石油臭

残留染料
ウール製品だけに限ったことではないのですが、
繊維を染める時のすすぎ不足が原因で染料が残っている場合があります。これを残留染料と言います。
この残留染料も臭いを出す原因になります。
機械油
また、衣類はいろいろな機械を使って作られています。
ニットなら編機、カットソーならミシン、糸を撚る時の紡績にも機械が使われています。
機械には、滑りをよくするために所々にオイルが注されています。
機械から滲み出たオイルが、加工する過程で糸や製品についてしまうことがあります。
そのまま放置されて油が酸化してしまうと強い臭いを出してしまうというわけです。
- 染料の残り
- 機械油
これらが重なって、石油臭さの原因になります。
また、水に濡れるとラノリンの獣臭や石油臭は強くなります。
スーツや制服が濡れると、臭くなる時がありますよね。
あれは製品に(糸自体に)付いている臭い成分が水分の色々混ざっ出てきてしまっている状態です。
臭いの取り方3選
ここからは、具体的に臭いの取り方を解説していきます。
臭いが取れる仕組みとしては、水分で臭い成分を包んで、乾燥とともに空気に臭いを放出するイメージです。
水分と乾燥の組み合わせで、ほとんどの臭いが軽減されます。
消臭方法① スチームアイロンを使う

たっぷりのスチーム(蒸気)で臭いを吸収して飛ばします。
勢いよく出された水分が、表面についた臭い成分を一緒に飛ばして消臭する仕組みです。
高温の蒸気はすぐ乾くので、消臭効果も早く実感できます。
スチームは高温なので除菌・殺虫効果があり、シワも取れやすいです。
この方法が一番おすすめなので、ぜひ試してみてください。
後に紹介する2つとの組み合わせで効果が倍増します。
スチームアイロンが無いよという人は、これを気に購入を検討してみてください。
\筆者が使ったスチームアイロン/

消臭方法② 一晩陰干しをする

「スチームアイロンなんて家にないよ」という方でも大丈夫。
方法はまだあります。
それは、夜から朝にかけて外で干しておくという方法です。
ポイントは、繊維に夜露(よつゆ)を吸わせて朝の日の光で乾燥させることです。
【水分+乾燥】の工程をたっぷり時間をかけて行います。
この方法は時間がかかりますが、
- 放ったらかしでいい
- 時間をかけるので強めの臭いにも効果的
というメリットがありますので、忙しい方は試してみてください。
消臭方法③ 消臭スプレーを使う

「もっと即効性のある方法はないの?」という人には、薬品の力で消臭する方法がおすすめです。
薬品と言っても、ファズリーズなどの消臭スプレーのことです。
こちらも水分をしっかり吸わすことと、その後しっかり乾燥させることが大事です。
注意したいのは、
- 消臭スプレー自体の匂いが混ざって余計に変な匂いになってしまう
- 化学成分を使ってしまうので敏感肌の方には刺激になってしまう
ということです。
臭いや薬品に敏感な方は避けた方がいいでしょう。
即効性があるので急いでる場合はこの方法を試してください。
タバコや焼肉の臭いも同じやり方で軽減できます
それでも臭いが取れないときはプロに任せる
臭いの強い場合は、3つの方法でも思ったより効果が得られない場合があります。
時間とともにだんだん軽減はされるので、粘り強く繰り返していただきたい
ラノリンの残り方次第では、自分でできることに限界があるのも事実です。
いろいろ試したけど臭いが取れなかったり、どうしても臭いが気になるという場合は次の方法を試してください。
ドライクリーニングに出す

プロに任せてしまいます。
臭いがどうしても取れない時にはドライクリーニングが良いでしょう。
ドライクリーニングは、水ではなく石油系の溶剤を使います。
石油系の溶剤は皮脂汚れなどの油の汚れを落とします。
ウールの臭いの原因はラノリンという脂肪質や油分ですので、石油系溶剤を使うドライクリニーングが効果的です。
またドライクリーニングは、
- 縮みにくい
- 型崩れしにくい、
- 風合い変化も起きにくい
- 繊維へのダメージがほとんどない
という特徴もあるのでウール製品のメンテナンスにはちょうどいい方法です。
近くのクリーニング店で相談してみて下さい。
実際にクリーニングを依頼する際は、「臭いを取りたい」旨をしっかり伝えてください。
ただクリーニングに出す時の問題は、
- 値段が高い
- お店に持って行ったり取りに行ったりする時間がない
忙しい主婦やサラリーマンには大きな負担です。
ただ、そのあたりは宅配サービスを使うことで解決できます。
クリーニングの宅配サービスには
- お店の営業時間に縛られない
- 重い荷物を持ち運びしなくていいい
- 仕上がり品質が高い
というメリットがあります。ぜひ検討してみてください。

自宅で洗濯する

おうちで洗濯してしまうという選択肢がありますが、実はウールに関してはあまりおすすめできません。
理由は、
- 水では油汚れは落ちにくい
- 水分と摩擦で服の風合いが硬くなる(フェルト化現象)
- 水分と摩擦と乾燥で縮んでしまう
というリスクがあるからです。
どうしてもおうちで洗う場合は、必ず手洗いで以下の手順で行ってください。
- おけ等にたっぷり水をためて
- 洗剤は中性洗剤(アルカリ性はNG)
- ゆっくり押し洗い(揉まない、こすらない)
- すすぎ2回
- タオルドライでしっかり水分を取る
- 水につけてからタオルで拭き取るまでの間3分で終わらす
- 平干しで陰干し
ウールというのは、撥水性と吸収性の相反する2つの機能があります。
表面だけに水分がかかる分には撥水機能が働いて縮みにくいですが、繊維内部まで水が入ってしまうと収縮して型崩れや縮みの原因になります。
手洗いするにしても短時間で手早く済ませるようにしてください。
あまり慣れていない方はスチームアイロン程度までにしておいた方がいいでしょう。

最後に
天然の羊毛はにおいがするものです。
それは羊本来の、保湿保温性や撥水性が残っているということでもあります。
とは言え、耐え難い場合もあると思いますのでその時は焦らず、少しの水分と乾燥(風通し)があるところに保管しておくと自然と軽減されます。
早く効果を出したいという場合は、上記の消臭方法を試してみてください。
いろいろ試して冬のコーデを楽しみましょう。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
記事の内容が少しでも参考になったと思ってもらえるようにこれからも頑張ります。
ではまた他の記事で!ありがとうごいました。
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